厚生労働省は、「働く人の意識」を分析テーマとした2008年版「労働経済白書」を発表。非正規社員の急増と納得感の少ない成果主義導入の結果、労働者の仕事の満足感が長期的に低下して生産性が落ちていると分析し、長期雇用を再評価するとともに、成果主義賃金の運用を改善して、働きがいを高めることで生産性の向上にもつながると結論づけた。
派遣添乗員の女性が不払い残業代約20万円の支払いを求めていた労働審判で、東京地裁は女性の主張を大筋で認め、会社(阪急トラベルサポート)側に約14万円の支払いを命じる審判を下した。女性は「みなし労働時間制」の適用を不当とし、法定労働時間を超えて働いた分の残業代を支払うよう申し立てていた。
社会保険庁は、平日には相談に行きにくい年金加入者からの相談に応じるため、8月のすべての土・日曜日について、社会保険事務所を開けると発表した。受付時間は午前9時半から午後4時まで。
総務省は、「年金記録確認第三者委員会」における審査受付開始後1年間の状況を公表し、受付件数約4万7,000件のうち判定を行った件数の割合(処理率)が約37%であることを明らかにした。記録訂正が認められたのが7,468件、却下されたのが9,043件、申請後の取下げが851件だった。
社会保険庁は、国民年金・厚生年金のすべての紙台帳(約8億5,000万件)とコンピュータ上の記録の照合を行う方針を示した。これまでは、申出があった場合にのみ照合する方針だったが、2010年度から10年かけてすべての紙台帳について照合するとしている。
与党の後期高齢者医療制度に関するプロジェクトチームは、現在は9割軽減されている、会社員の子供らに扶養されている75歳以上の後期高齢者の保険料について、2009年4月以降も軽減措置を継続する方針を示した。延長期間は1年間。
2007年度における介護職員の離職率が21.6%(前年度比1.3ポイント増)に悪化したことが、財団法人介護労働安定センターが全国1万7,000事業所・介護職員5万1,000人(回答率はそれぞれ28.6%・26.0%)を対象に行った調査結果で明らかになった。
日雇い派遣大手グッドウィル(7月末で廃業)の元支店長・現役支店長各1名が、過去にサービス残業を行っていたとして、不払い残業代の支払いを求めて会社に団体交渉を申し入れることが明らかになった。請求額は1人あたり300万円以上で、今後同様の請求が相次ぐものとみられている。
厚生労働省の有識者研究会は、1つの派遣会社が特定のグループ企業へ派遣する労働者の割合に上限を設定すべきとの提言を、7月末にまとめる予定の報告書に盛り込む方針を明らかにした。上限を「8割」とすべきとしている。
政府・与党は、基礎年金の財源の国庫負担割合の引上げについて、来年10月以降に先送りする方針を示した。当初、来年4月から負担割合の2分の1(現在は36.5%)への引上げを予定していたが、消費税の引上げが困難となり、財源の見通しが立たないため。
与党でつくる「新雇用対策に関するプロジェクトチーム」は、労働者派遣制度見直しに関する基本方針を決定し、派遣法の改正を舛添厚生労働大臣に求めた。主な内容は、日雇い派遣の原則禁止、偽装請負の罰則強化、専ら派遣の規制新設、派遣先の労災責任の明確化、派遣元の手数料の公開義務付けなどで、これを受け、厚生労働省は秋の臨時国会に改正案を提出の方針。
豊田労働基準監督署が、2006年1月に虚血性心疾患で死亡したトヨタ自動車社員(当時45歳)について、月平均80時間超の時間労働があり、さらに新型車の開発責任者として精神的緊張を伴う業務だったとして、労災認定をしていたことがわかった。遺族の代理人弁護士は「労働基準監督署長が長時間労働以外の負荷要因を労災認定理由に盛り込むのは珍しい」とコメントした。
今年5月の1カ月間に記録漏れの訂正手続を行った年金受給者は約6万7,000人おり、訂正後の年金額は1人あたり平均約5万4,000円増加することが、社会保険庁の試算により明らかになった。昨年12月から始まった「ねんきん特別便」の発送以後、5月末までに訂正手続を行った受給者は約70万人となっている。
社会保険庁は、現在は年金加入者(約6,200万人)に限定されているインターネット上での年金記録の照会サービスについて、年金受給者(約3,300万人)にも拡大する考えを明らかにした。2008年度中にも、自分の「ねんきん特別便」に関する情報に加え、過去の標準報酬月額や保険料納付履歴などを確認できるようにする。
総務省は2007年の「就業構造基本調査」を発表し、年間就業日数200日以上の雇用者(役員除く)のうち、週60時間以上働いている人が12.7%となり、前回調査(2002年)時に比べ0.8ポイント増加したことがわかった。週35時間未満の人は11.8%(1.7ポイント増)だった。また、非正規雇用社員の割合が35.5%で過去最高となった。