厚生労働省は、36協定届の手続きを簡素化し、本社がまとめて1回で申請できるようにします。これまでは事業所ごとに所轄の労基署に届け出るルールで、協定内容が同じ場合のみ本社一括申請が可能でした。厚生労働省の審議会で議論のうえ、23年度中にも通達や省令改正などを見直し、適用します。
厚生労働省は国民年金保険料の支払い手段を拡充し、2024年3月末までに「ねんきんネット」を活用して納付書なしで納付できる方法を導入。ねんきんネットを介した支払いでは、電子決済サービス「Pay-easy(ペイジー)」やネットバンキングが使えます。申請の電子化も進め、23年度中にマイナポータル経由の口座振替を電子申請できるようにします。
岸田首相は、「年収の壁」問題の解消を目的として新設する助成金制度を、10月から適用する考えを示しました。3年程度の時限措置として、社会保険料の負担により従業員の手取りが減少しないよう、賃上げに取り組んだり段階的に勤務時間を延ばす計画を作成したりした企業に対して、最大50万円を助成する方針です。
政府は、現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に移行する方針を巡り、未取得者に発行する「資格確認書」の運用を見直し。上限1年とした有効期間を5年に延長し、マイナ保険証を持たない全ての人に保険者の職権で交付します。現行の健康保険証の廃止時期を2024年秋から延期するかは判断を留保し、関連データの総点検の結果などを踏まえ、改めて検討するとみられます。
厚生労働省は、フリーランスや個人事業主を労働安全衛生法の対象に追加する方針を示しました。フリーランスらが業務上の事故で死亡、または4日以上休業するけがをした場合、仕事を発注した企業等に労働基準監督署への報告を義務付けます。違反しても罰則は設けない方針ですが、是正勧告など行政指導の対象になり、今後詳細を詰め必要な法令改正の手続きに入ります。
今年度の最低賃金を議論してきた国の審議会は、引上げ額の目安を全国平均で41円と決めました。全国平均が現在の961円から1,002円になり、初の1,000円台に到達する見通しで、今後、この目安をもとに各都道府県の審議会で議論して決定し、10月頃から適用される予定です。
定年後再雇用の際に基本給を減額したことの妥当性が争われた訴訟で、最高裁は、正社員と再雇用者の間の「不合理な格差」に基本給が含まれ得るとし、判断にあたっては基本給の性質や支給目的等を踏まえて考慮、評価すべきとする初判断を示しました。「基本給が定年退職時の6割を下回るのは不合理」とした二審・名古屋高裁判決については検討が不十分だとし、差し戻しました。
国交省は、運送業の2024年問題に対応するため、全国にトラックGメン(162人)を配置すると発表しました。トラック事業者への聴取等を行い、長時間の荷待ちや不当な運賃設定などの問題が見つかれば、貨物自動車運送事業法により荷主や元受事業者などに対し是正の要請や勧告を行い、改善されない場合は事業者名の公表も行います。
厚労省は、介護・医療・保育の3分野での人材紹介業の規制を強化します。人材紹介会社に高い手数料を払っているにもかかわらず離職率の高いことが介護事業者等の経営を圧迫していることを受け、手数料の透明化やなど離職率の報告義務化、不当な転職勧奨の防止などを図り、今年度末までに具体的な検討を進め順次実施します。
厚生労働省は、7月、モデル就業規則を改定し、「自己都合による退職者で、勤続○年未満の者には退職金を支給しない」との規定を削除しました。勤続年数の少ない自己都合退職者に対するこのような規定が転職の障壁となっているとの指摘への対応で、成長産業への労働移動につなげるねらいです。
事務所便りウェブ版6・7月号を掲載しました。ぜひ、ご覧ください。https://www.k-sr.jp/modules/letter2/content/index.php?id=18
経済産業省は、経営者や従業員が身につけるべきDXに関する知識や技術をとりまとめた「デジタルスキル標準」(指針)を8月にも改定します。生成AI(人工知能)を加え、成立ちや基盤技術を理解すること、ビジネスへの活用事例を知ること等を記載します。本指針は企業の社内研修や社会人カリキュラムなどに反映されます。
2024年秋にも廃止が予定されている健康保険証について、厚生労働省は11日、廃止から1年間は一律で保険証が有効となるよう対策をとる考えを示しました。2025年秋より前に有効期限が切れる国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険証について、各保険者に対応を要請する方針です。
厚労省が7日に発表した5月の毎月勤労統計調査(速報)によると、名目賃金に当たる現金給与総額は前年比2.5%増の28万3,868円でしたが、物価を考慮した働き手1人当たりの実質賃金は、同1.2%減少しました。減少は14カ月連続です。春闘効果で賃上げ率は30年ぶりの高水準になりましたが、物価の伸びに追いついていない状態が続いています。
マイナンバーカードの健康保険証が窓口で使えず医療費の10割負担を求められる問題で、厚生労働省は、対応策を示しました。8月診療分から、カードで被保険者資格を
確認できず健康保険証が手元にない場合でも「被保険者資格申立書」の記入により窓口負担を本来の負担分とします。あわせて、従来の保険証も持参するよう呼びかけます。医療機関にも、保険資格を確認できなくても保険者への支払い請求ができるなど未収金が生じない措置をとります。