政府は、フリーランスで働く人の法的保護を強化するため、業務発注時に契約書面の作成を義務付ける事業者の対象を拡大する方針を固めました。新型コロナウイルス禍でフリーランスの収入源が減っている中で、口約束の仕事を一方的にキャンセルされるなどのトラブルが相次いでいる背景があります。来年の通常国会に関連法案を提出する方向で調整します。
厚生労働省が6日に公表した2020年度の公的年金の収支決算で、会社員らが加入する厚生年金と自営業者らが加入する国民年金の合計の積立金が、時価ベースで過去最大の194兆5,186億円となったことが分かりました。株価上昇で公的年金の運用が好調だったことが全体を押し上げ、2019年度から36兆6,058億円増えた。内訳は、厚生年金が34兆8,031億円増の184兆1,927億円、国民年金が1兆8,027億円増の10兆3,259億円。厚生年金の保険料収入は、新型コロナで収入が減った事業者向けに納付猶予の特例制度を設けたことなどが要因で5,584億円減少しました。
経済産業省は、最低賃金の引上げの影響が大きいとみられる中小企業を対象と
する補助金の受付けを始めました。新規事業に取り組む中小企業などに向けた
「事業再構築補助金」に「最低賃金枠」を創設。業況が厳しく、最低賃金
近傍で雇用している従業員が一定割合以上の事業者について、補助率を3/4
(通常は2/3)に引き上げるとともに、他の枠に比べて採択率を優遇します。
受付けは9月21日まで。
厚生労働省は、6月の有効求人倍率(季節調整値)について、1.13倍(前月比
0.04ポイント上昇)だったと発表しました(上昇は3か月ぶり)。有効求人数は
横ばいも、新型コロナウイルスのワクチン接種後に求職活動を始めたいという
動きが強まって有効求職者数が減ったことで数値が上昇したとみられます。
また、総務省によると、同月の完全失業率(季節調整値)は2.9%(前月比
0.1ポイント低下)で、こちらも3か月ぶりに改善しました。
男性も子育てのための休みを取りやすくする改正育児・介護休業法が、衆院本会議で可決、成立しました。2022年度中にも施行されます。男性も子供の出生後8週間以内に4週間まで2回に分けて「産休」を取得できるようになり、企業は対象社員に取得を働きかけるよう義務づけられます。また、2022年4月以降、雇用されてから1年未満の有期契約の労働者でもとれるようになります。
厚生労働省が発表した2020年度の毎月勤労統計調査で、正社員の所定外労働時間が前年度比13.7%減、パート労働者21%減で、1993年の調査開始以来最大の減少幅となったことが分かりました。飲食業や生活関連サービスでの減少が著しく、新型コロナウイルスによる休業や時短営業の影響によるとみられます。また、労働者1人あたりの平均賃金を示す現金給与総額は31万8,081円で同1.5%減となり、8年ぶりに減少に転じました。
一定以上の所得がある75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法が4日の参院本会議で成立。単身世帯は年金を含めて年収200万円以上、複数世帯では合計320万円以上が対象です。導入時期は2022年10月から23年3月の間で、今後政令で定められ、育児休業中に社会保険料を免除する対象を22年10月から広げることや、国民健康保険に加入する未就学児を対象に22年4月から保険料を軽減する措置も盛り込まれました。
厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会分科会は24日、男性の育児休業取得を促進するための報告書案を大筋で了承した。男性の育休ニーズが高い「子の誕生後8週間以内」に限り労使が事前に調整した仕事なら働けるようにする(現行では育休中は原則、働くことができない)。また、子が1歳になるまでの間に男性は4回、女性は2回まで育休を取得できるようにする(現行の制度は原則、子が1歳になるまでの間に1回のみ)。厚生労働省は来年の通常国会に育児・介護休業法など必要な法案の提出を目指す。
厚労省は、テレワークに関するガイドライン(指針)の見直しに向けた報告書案を示した。雇用形態の違いだけで対象者を分けない、働き手の自己申告のみで労働時間管理が可能、テレワークをせずに出社しているというだけでの高評価は不適切…といったことがまとめられている。この報告書をもとに、厚労省は2021年3月までにテレワークのガイドラインを大幅に改定する予定だ。
雇用維持に向けた支援策措置は、2020年度第3次補正予算案と当初予算案をあわせて2兆2,000億円が計上された。「雇用調整助成金」の特例措置期限を延長するほか、コロナ禍で他社へ出向した場合の「産業雇用安定助成金」(仮称)を新設した。その他、失業者を雇う企業や、高年齢労働者の処遇を改善した企業に対する助成制度を創設する。
政府は、現在オンライン化されていない行政手続き約1万9,000件について、643件を除き5年以内にオンライン化する方針を決定した。行政だけではなく民間分野でも書面・対面による手続きの見直しを促す方針も明記した。
政府は、フリーランスを法令で保護する指針を年内にまとめる方針。指針は公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で出される。企業とフリーランスの取引全般を独占禁止法の対象になるとの考えを示し、発注側が資本金1,000万円以上の企業の場合は下請法も適用され、取引実態が雇用関係に近い場合には労働法も適用する。政府の試算では、国内のフリーランスは300万人から400万人とされ、近年増加している。
経団連は、5月に策定した新型コロナウイルスの感染予防対策に関する企業向けガイドライン(指針)について、冬場を迎えるにあたり改訂したと発表しました。不急の場合は見合わせるとしていた出張について、改訂指針では「地域の感染状況や
出張先の感染防止対策に注意する」とし、対策を徹底した上で行えるよう変更されています。
そのほか、冬季の対策として、こまめな換気を行うことや、飛沫の広がりを防ぐ
ために職場内の保湿に努めることなどが追記されています。
内閣府の子ども・子育て本部と厚生労働省による検討チームは、不妊治療と仕事を両立するための支援策をまとめた取組み方針を公表しました。新たに治療のための休暇制度を導入したり、時差出勤等の柔軟な働き方を整備したりした中小企業に対する助成金制度を作り、不妊治療を受けやすい職場環境を整備します。
助成金額や具体的な制度内容について今後さらに検討し、2021年度からの支給を目指すそうです。
政府・与党は、雇用を増やした中小企業の税負担を軽減する方針を固めました。従業員の賃金を引き上げた企業の法人税を軽減する「賃上げ税制」の適用要件を見直し、賃上げがなくても人員を増やすなどで企業全体の給与総額が1.5%以上増えれば、増加分の15%を法人税から差し引きます。10日にまとめる来年度の与党税制改正大綱に盛り込むそうです。