厚生労働省は、石綿(アスベスト)を扱う業務に従事したことのある退職者のうち、勤務していた企業が倒産・廃業した人などについて無料検診を実施すると発表した。これまで、退職者でも勤務していた企業が現存する人については元の勤務先で検診を受けることができる場合があったが、元の勤務先が倒産・廃業した人については検診を受ける機会がなかった。11月1日から17日まで全国で申請を受け付ける。
厚生労働省は、派遣法で定められている雇用期間(原則1年)を超えて派遣社員を正社員同様に働かせ続けているケースが多いことから、悪質なケースについて、来年度から是正指導を強化する方針を示した。派遣社員による告発などを基に労働局を通じて対象企業を個別に調査し、違法性が高いものについて是正指導を行う。
同省が行った調査では、6割程度の派遣社員が、期間満了後も同じ職場で派遣社員として業務を続けていることが判明している。
残業した従業員に割増賃金を規定通りに支払わない不払い残業(サービス残業)で、2005年度に労働基準監督署から是正指導を受けて100万円以上の未払い残業代を支払った企業が過去最多の1,524社(前年度比87社増)となったことが、厚生労働省のまとめでわかった。未払い総額は232億9,500万円(前年度比約7億円増)で、1社当たりの未払い額は平均1,529万円。対象従業員数は16万7,958人で、従業員1人当たりの未払い残業代は平均14万円だった。
政府・与党は年金保険料の徴収や年金の給付などの業務を非公務員型の独立行政法人か民間会社に行わせ、社会保険庁の職員を非公務員化する方針を示した。保険料未納者などに対する強制徴収業務については、引き続き国家公務員が担当するとしている。継続審議となっている社保庁改革関連法案を廃案とし、今後、社保庁職員の非公務員化を盛り込んだ改革案を新たにまとめる予定。
政府の「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」は、都道府県ごとの出生率、出生率の減少率、働く女性の割合を示す有業率に関する調査結果を発表。「働く女性の割合が高い地域ほど出生率が高い」という傾向が明らかになった。出生率が高くて減少率も低く、女性有業率が高い地域は、山形、群馬、福井、三重、熊本など16県。すべてが逆の地域は、北海道、東京、神奈川、大阪、福岡など16都道府県だった。
人事院が「民間企業の勤務条件制度等調査」を発表。男性従業員の育児休業取得を促進するため、具体的に制度を導入している企業は、28%にとどまっていることがわかった。導入企業における具体策としては、「従業員への制度の周知」(87%)や「取得の奨励」(16%)などが多かったが、実効性を高める「数値目標の設定」は15%しかなかった。
過去1年間に、週40時間を超える時間外労働が月100時間を超える従業員がいた事業所は13.4%あり、そのうちの9割で医師による面接・指導等の健康チェックが行われていないことが、厚生労働省の調査でわかった。今年4月施行の改正労働安全衛生法では、従業員50人以上の事業主に対し、長時間労働を行った従業員から申告があった場合には医師の面接指導を実施することを義務付けているが、調査は昨年10月に行ったもの。
総務省は8月の完全失業率が前月と同じ4.1%であったと発表。雇用者数は5,479万人(前月比81万人増)、完全失業者数は272万人(同12万人減)だった。また、リストラなどで失業を余儀なくされた人も前月から7万人減った。一方、厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.08倍(前月比0.01ポイント減)となったが、新規求人数は前年同月比で4.6%増加している。
民間企業に勤務する人の2005年の平均給与は436万8,000円(前年比2万円減)であることが、国税庁の民間給与実態調査でわかった。8年連続の減少となる。給与所得者数は4年ぶり、給与総額は8年ぶりに増加したが、正社員よりもパートやアルバイトなどの非正社員が増加したため、平均給与の減少につながったとみられる。また、平均給与300万円以下の人は1,692万人(37.6%)で、2001年から3.2ポイント増となった。
厚生労働省は、フリーターなどの若者の再就職支援のため、採用機会の拡大を企業の責務と明記するなど雇用対策法を改正する方針を示した。具体的な指針も作成し、「新卒」や「経験者のみ」という企業の募集方法を改めさせ、上限年齢を設けている企業と正社員として就職を希望する若年層とのギャップを埋めるもの。来年の通常国会に改正案を提出予定。
厚生労働省は、出産に伴う医療事故の被害者を救済するため、産科医の過失が認められなくても障害を負った母子に補償金が支払われる「無過失補償制度」を創設する方針を示した。現状では医師の過失認定が必要とされ、訴訟の長期化などが問題視されている。今後は補償の財源や制度内容などについて、同省と日本医師会の間で調整する模様。
厚生労働省は、来年4月から年金の支給停止制度が導入されるのに合わせ、年金受給を自ら停止した人を表彰し、希望者の氏名を公表する仕組みの導入を検討する考えを示した。高齢富裕層の年金返上を促し、年金財政の悪化を少しでも食い止めたい考え。支給停止制度は、申出により年金の支給を停止することができる制度で、受給を再開することも可能。
確定拠出年金の加入者数が今年7月末時点で206万2,000人(前年同時期比28.3%増)となり、導入企業数は7,298社(前年同時期比48.8%増)となったことが厚生労働省の調べでわかった。企業が従業員のために掛金を支払う「企業型」の加入者数が199万2,000人で、導入企業の約8割は従業員300人未満の中小企業が占めている。2004年に掛金の非課税限度額が拡大されたことが大幅に増加した要因とみられる。
厚生労働省は2005年度の介護給付費実態調査を発表し、1年間に1度でも介護保険サービスを利用した人の数は439万8,400人(前年度比6.3%増)となり、過去最高を更新したことがわかった。高年齢者の増加が最大の要因で、2001年度の調査開始以来毎年増加している。今年3月に利用した人1人当たりの費用は、全国平均で月額14万5,300円だった。
法務省のプロジェクトチームは、外国人労働者問題に関する最終報告をまとめ、特別永住者を除く外国人の受け入れ数に上限を設定し、上限に接近した場合は受け入れ抑制策を実施することなどを提言として盛り込んだ。同報告では、国内における高齢者や女性、フリーターやニートの活用を優先し、その後に外国人の受け入れ拡大を図るべきだとしている。