2006年度に労働基準監督署からサービス残業について是正指導を受け、未払い残業代を100万円以上支払った企業は1,679社(前年度比約1割増)となり、年度ごとの調査を開始した2003年度以来最多となったことが厚生労働省の発表によりわかった。業種別では製造業(430社)、商業(421社)が上位を占め、未払い残業代の総額は約227億1,400万円(前年度比約5億8,000万円減)だった。
偽装請負に対する批判を受けて厚生労働省が指導を強化した2006年度において、3,477件の偽装請負関連の立入り調査を行っていたが、同年度に偽装請負関連で文書指導を行った件数は2,646件、指導率が76.1%に達することが同省の発表によりわかった。また、労働者派遣法違反に対する指導率も64.2%に上っており、規制緩和で労働者派遣が拡大したのに伴い、違法行為も横行しているものとみられる。
中小企業退職金共済制度が1959−2006年度に支払うべき退職金のうち、計49万2,251人分、約365億9,000万円の退職金が未払いとなっていることが明らかになった。同制度は、企業の掛金と国からの助成金を勤労者退職金共済機構が運用して退職者の請求に基づき退職金を支払う仕組み。未払い分の大半は本人が請求をし忘れたために発生したものとみられる。未払い分については5年で時効となるが、同機構は時効になった分の支払いにも応じる方針で、問合せ窓口を設けて対象者に申請を呼びかける。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」により、8月分の労働者の賃金の平均を示す現金給与総額は28万3,236円(前年同月比0.1%増)で、9カ月ぶりに増加に転じたことがわかった。基本給は0.1%減だったが、残業代が1.2%増となったことが影響した。
総務省が発表した労働力調査(速報)によると、8月の完全失業率は3.8%となり、昨年の9月以来11カ月ぶりに悪化したことがわかった。これまで求職活動をしていなかった若い女性が職探しを始めたものの現時点では就職できていないことが主因とみられるが、同省では雇用動向の改善傾向は続いていると判断している。
民間企業に勤める人が2006年中に得た平均給与は434万9,000円で、前年を1万9,000円下回ることが、国税庁の実態統計調査でわかった。サラリーマンの平均給与所得は9年連続で減少したことになる。また、同調査で、給与が1,000万円超の人の数と300万円以下の人の数が増えていることもわかり、給与所得の格差が拡大している。
これまで「6分割」と称されていた社会保険庁の廃止・解体計画が、「2分割」に改められる方針が明らかになった。舛添厚労相が、厚生労働省などに移管する業務も対象として数えていた分割数を「わかりにくくて不正確」と提唱したことによるもので、まずは年金業務(日本年金機構)と健康保険事業(全国健康保険協会)への分割であることから「2分割」とされることとなった。
集配業務に従事するドライバーにサービス残業をさせていたとして、宅配便大手のヤマト運輸が大阪南労働基準監督署から労基法違反で是正勧告を受けていたことがわかった。出退勤を管理する携帯端末に記録された時間と給与計算に使う勤怠記録の労働時間に差があり、超勤時間が実際より短くなるケースがあったもの。同社は勧告に従い運転手約40人分の未払い分を確認して支給するとしている。
総務省の労働力調査により、今年4-6月期に転職し、前職より収入が増えた人の転職者全体に占める比率が35.3%と、過去最高を更新したことがわかった。景気回復による人手不足で労働需給が引き締まる中、賃金が上がるステップアップ型の転職が広がっており、転職市場の拡大が平均賃金の押上げ要因になる可能性もある。
厚生労働省の発表した来春卒業予定の高校生の求人・求職状況により、7月末現在の求人倍率は1.29倍で、5年連続で上昇したことがわかった。製造業からの求人が堅調なほか、医療・福祉分野の求人が増加している。
厚生労働省は、建設現場などで働く日雇い派遣労働者が一定の条件を満たした場合に、雇用保険を適用することを決めた。複数の派遣会社に登録して一定期間就労した労働者が失業した際に、「日雇労働求職者給付金」を支給する。日雇い派遣大手のフルキャスト渋谷支店を保険適用事業所として認め、順次拡大していく。
厚生労働省は、従業員が早期に職場復帰した場合でも、本人が希望し原則1年以内であれば再び育児休業を取得できるよう、現行の育児休業制度の見直しを検討する方針を示した。来年度をメドに、育児・介護休業法の改正案をまとめるとしている。
厚生労働省は2007年度の都道府県別の最低賃金の改定状況をまとめ、全国平均で時給687円(14円アップ)となったことがわかった。引上げ額の最高は東京、愛知の20円、最低は山形、鳥取、島根、愛媛、高知、大分の7円。最高額は東京の739円、最低額は秋田、沖縄の618円。10月中に適用の予定。
2006年に、アスベストの吸引が主原因とされる中皮腫による死亡者数が1,050人(前年比約15%増)となり、過去最多となったことが厚生労働省の調べでわかった。都道府県別では、最多が大阪府(103人)、次いで兵庫県(102人)、東京都(93人)だった。
国民年金保険料の不正免除問題で懲戒処分を受けた社保庁の職員26人が、能力評価で5段階中2番目に高い「A評価」を受けていたことが明らかになった。2010年に同庁から「日本年金機構」に移行する際の職員採用にこれらの評価結果を参考することには疑問の声が上がっている。