舛添厚生労働大臣は、参院予算委員会で年金記録漏れ問題に関し、2010年に年金機構ができると同時に年金記録データの完璧性を期すべく、3年以内に、年金記録の原簿となる紙台帳とコンピューター上のデータを照合する作業を完了させる考えを示した。政府が照合の期限を明示したのは初めて。
上司の暴言が自殺の引金になったとして労災認定を求めた訴訟の判決で、東京地裁は15日、暴言とうつ病発症・自殺との因果関係を認め、労災と認める判断を示した。パワハラによる自殺に労災を認めた判決は初めてで、パワハラを軽視してきた労働行政を是正した本判決には画期的意義があるとみられる。
厚生労働省は、政府が2011年度中の導入を目指す「社会保障カード」について概要を公表。同カードが、年金手帳・健康保険証・介護保険証などを統合したものになること、ICを搭載して自宅パソコンから年金記録やレセプトを閲覧することが可能になるものになること等を明らかにした。
加入義務があるにもかかわらず未加入のまま厚生年金保険料を支払っていない事業所が2007年3月末時点で9万7427事業所にのぼり、前年同期に比べ約1.5倍に増えていることが社会保険庁の調査でわかった。未加入だったが社保庁の説得に応じ加入した事業所数も1万883事業所あるが、新たに未加入と判明した事業所が増えたことで、未加入の全体数が増加した。
労働者派遣法で禁じられている警備業務に労働者を派遣していたとして、宮城県警は15日、大手人材派遣会社フルキャストと当時の営業担当社員を、同法違反(禁止業務派遣)の疑いで書類送検した。同県警によると、警備業務への派遣をめぐり派遣会社が摘発されるのは全国で初めて。
2006年社会生活基本調査結果(総務省統計局)によると、有業者の1日当たりの「仕事時間」は、5年前の前回調査と比べて男女とも増加し、男性7時間0分(12分増)、女性5時間0分(9分増)となった。過去20年間の推移をみると、男女とも一貫して減少が続いていたが、今回は増加に転じた。
与党は、企業が年金保険料を国に納付していなかった場合でも従業員に年金を支給するようにする特例法案を、議員立法で国会に提出する方針を示した。企業に保険料納付の2年の時効を適用せずに過去の未納分の任意納付を認め、企業が倒産している場合等は未納分を税金で補填するなどといった内容で、11月上旬にも法案提出の見込み。
舛添厚生労働大臣は、現在は60歳未満となっている国民年金基金の加入資格について、60〜64歳の国民年金の任意加入者にも拡大するよう検討することを明らかにした。また、掛金の最低額も現在の月額9,000円(20歳男性)から6,000円程度に引き下げることも併せて検討する。基金の加入者を増やすことにより年金受給額の水準を上げることがねらい。
社会保険庁は「年金記録漏れ問題」に関して、過去に納付された5000万件分の保険料の総額が2兆3,500億円程度に上るとの試算結果を明らかにした。150件のサンプルの平均額をもとに算出されたもので、「実態を正確に把握したものではない」と同庁は説明している。
政府・与党は、年金の最低保障機能を強化するため、低所得者層に対する「国民年金加算制度」の創設を検討していることを明らかにした。原案では年収160万円未満の単身世帯などを対象に国民年金の支給額を約25%引き上げるとしており、2009年度までに制度の運用開始を目指す。財源は税金でまかなう方針で、約9,000億円程度と試算されている。
確定拠出年金で、運用されないまま塩漬けにされている約8万人分(総額211億円)の年金資産のうち約2万人分について、加入者の連絡先が不明となっていることが明らかになった。転職時に必要な手続きをとらないまま引っ越し等で住所不明となるケースが多いとみられる。厚生労働省では、企業の説明や本人の理解の不十分さが主な原因として、資産の移行手続の周知を企業などに徹底するよう求める。
2006年度に労働基準監督署からサービス残業について是正指導を受け、未払い残業代を100万円以上支払った企業は1,679社(前年度比約1割増)となり、年度ごとの調査を開始した2003年度以来最多となったことが厚生労働省の発表によりわかった。業種別では製造業(430社)、商業(421社)が上位を占め、未払い残業代の総額は約227億1,400万円(前年度比約5億8,000万円減)だった。
厚生労働省は、国民年金保険料をクレジットカードでも納付できるように国民年金法の政令を改正することを明らかにした。納付方法の選択肢を増やして保険料を支払いやすくすることがねらいで、国の公金納付でクレジットカードの利用が認められるのは初めて。社会保険事務所での申込み受付けは2008年2月以降で、実際の納付は同年3月分の保険料からとなる見通し。
偽装請負に対する批判を受けて厚生労働省が指導を強化した2006年度において、3,477件の偽装請負関連の立入り調査を行っていたが、同年度に偽装請負関連で文書指導を行った件数は2,646件、指導率が76.1%に達することが同省の発表によりわかった。また、労働者派遣法違反に対する指導率も64.2%に上っており、規制緩和で労働者派遣が拡大したのに伴い、違法行為も横行しているものとみられる。
中小企業退職金共済制度が1959−2006年度に支払うべき退職金のうち、計49万2,251人分、約365億9,000万円の退職金が未払いとなっていることが明らかになった。同制度は、企業の掛金と国からの助成金を勤労者退職金共済機構が運用して退職者の請求に基づき退職金を支払う仕組み。未払い分の大半は本人が請求をし忘れたために発生したものとみられる。未払い分については5年で時効となるが、同機構は時効になった分の支払いにも応じる方針で、問合せ窓口を設けて対象者に申請を呼びかける。