厚生労働省は、いわゆる「偽装請負」について、大手メーカーなど受入企業に対し、労働者を直接雇用するよう指導する方針を決定した。同省はこれまで、偽装請負の解消手段として派遣への切り替えを認めてきたが、偽装請負での労働期間が派遣で認められる期間を超えた場合は、直接雇用に切り替えるよう指導を強めていくとしている。
厚生労働省は、育児休業中に厚生年金保険料を免除された人が2005年度末時点で約9万7,000人(前年度比約24%増)となったことを発表した。2005年度より、子供が「満1歳になるまで」から「満3歳になるまで」に適用が拡大されたことが影響したとみられる。
人材派遣会社などの請負業者に対し、偽装請負で厚生労働省が文書指導した件数が、2006年4月から12月までの間に1,403件(前年同期比約128%増)あったことがわかった。立ち入り調査件数1,797件のうち8割近くの事業者が文書指導された。
政府は、2025年の労働力人口が、2005年と比較して400万人増えるとする試算結果を発表した。ITの進歩で在宅勤務者が大幅に増加したり、医療の発達で健康な高年齢者が増加したりすることが影響するとしている。
厚生労働省は、アスベスト(石綿)を吸い込んだおそれのある人を対象とした無料検診を、3月1日から開始すると発表した。中皮腫の発生状況を調査する研究事業の一環として行う。千葉労災病院など6病院から始め、5月頃には20病院程度まで広げていくとしている。
政府・与党は、今国会に提出予定の社保庁改革関連法案に関して、「分割子会社設置」の規定を盛り込まない方針を固めた。当初、年金業務を引き継ぐ新法人を分割して、業務の一部を職員ごと民間会社として切り離す分割会社を設立する方針だったが、与党内からも「天下り先の確保」との批判が出ていた。
社会保険庁廃止後に新設される非公務員型の公法人の名称が「日本年金機構」となることが決まり、社保庁改革関連法案に盛り込まれることがわかった。法案が通れば2010年1月をめどに社保庁は廃止となる。また、全国の社会保険事務所は、「年金事務所」と名称が改められる。
政府は、団魂世代を対象に、簡単な研修を受講するだけで取得可能な資格制度を導入する方針を示した。定年後、社会貢献を希望する人材を活用するのがねらいで、国土交通省が設ける「観光地域プロデューサー」や厚生労働省の「介護サポーター」などが検討されている(いずれも仮称)。なお、資格取得に年齢制限は設けない方針。
厚生労働省は、非正社員・フリーターなどが加入しやすいよう、雇用保険の加入条件を緩和する方向での検討を始めた。複数の事業場における労働時間を合算して週20時間以上あれば加入を認める方針(現在は同一の職場で週20時間以上が必要)。来年以降の通常国会に雇用保険法改正案を提出したいとしている。
政府の「成長力底上げ戦略構想チーム」は、年長フリーターなどに企業での職業訓練機会を与えて、受講歴等を記載した証明書を公的機関が発行する「ジョブ・カード制度」を創設する方針を固めた。訓練を受講した企業以外への求職にも利用できるようにするなど、フリーターの就職活動を支援するもので、2008年度から実施する方針。
厚生労働省は、パート労働者の厚生年金の加入条件を現在の「労働時間週30時間以上」から「労働時間週20時間以上」に拡大した場合、給与から保険料を引かれることによる減収を補うため、パート労働者が今よりも労働時間を増やす可能性があるとの見通しを示した。
厚生労働省は、2006年の賃金構造基本統計調査(速報)を発表し、最も高い東京都の平均月収(残業代除く)が37万5,000円(前年比4,900円増)となるなど、大都市圏を中心に24自治体で平均月収が前年を上回ったことが分かった。一方、最も低い青森県の22万1,700円(前年比1,100円減)を始めとして、23自治体で前年を下回り、地域間の賃金格差が拡大していることが明らかになった。
社会保険庁は、国民年金保険料未納者に対する支払督促業務を試験的に民間に委託したことにより、徴収経費を3割〜5割程度削減できたと発表した。2005年10月から「市場化テスト」の一環として5つの社会保険事務所で民間2社に業務を委託していたもので、従来の戸別訪問を減らし、電話による督促を増やしたことによりコストが削減できたとしている。
2006年における年平均のパート労働者数(週35時間未満)は1,205万人(前年比4.8%減)となり、2年ぶりに減少したことが厚生労働省の調べで分かった。全体の雇用者数は5,353万人(前年比1.4%増)で、4年連続で増加した。パート労働者が雇用者数全体に占める割合は、前年比1.5ポイント低下して22.5%となった。
2006年度に民間企業などから出向してきた国家公務員の数が1,058人となり、5年間で2倍以上に増えていることがわかった。出向者の内訳は、民間企業からが829人、弁護士、公認会計士などが172人、大学教授などが57人で、省庁別では特許庁を所管する経済産業省による受け入れが328人で最も多かった。